実写映画化された「バッテリー」のソースは小説のほう

バッテリーという漫画は野球を題材にした、ピッチャーとキャッチャーを中心にしたヤングサンデーで連載されていた野球漫画ですが、原作は『沈黙の艦隊』や『ジパング』、『太陽の黙示録』で有名なかわぐちかいじの作品です。
バッテリーの漫画は、過去に数多くありましたが、かわぐちかいじの作品は、彼の作品のテーマとも言える、人間の生き方を高校でバッテリーを組んでいたピッチャーの海部一樹(かいふ かずき)とキャッチャーの武藤洋介(むとう ようすけ)の二人のプロ野球へ入団して活躍する生き様を描いたものです。
バッテリーの漫画は、舞台こそ野球と言うシーンを借りていますが、その本質的なテーマは『沈黙の艦隊』や『ジパング』や『太陽の黙示録』など、一連のかわぐちかいじの作品と同じテーマです。権力側につくか、己の力を信じて自ら未来を切り開くというテーマを中心にして、両者の葛藤を描くもので、少年漫画にしては重たいテーマと言えます。

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漫画「バッテリー」かわぐちかいじのの作品世界

バッテリーの漫画のストーリーは、高校野球の春夏準優勝と言う、未完全な燃焼状態から始まります。
人生の途上で実力がありながら優勝できずに終わった若者の苦悩がスタートラインとは、かなり文芸調な出だしですが、その後の海部一樹と武藤洋介の生き方の違いを暗示する設定と言えます。海部一樹は天才肌のピッチャーであり、弱小球団を自らの力で優勝させようとし、開幕から1軍ピッチャーに抜擢されますが、反対に武藤洋介は有力球団に入団して、2軍からスタートします。この二人がシカゴオリンピックと言う架空のオリンピックで再びチームメイトとしてバッテリーを組むことで、ストーリーは展開していきますが、バッテリーの漫画としてはかなり明確な対象的な構成になっており、かわぐちかいじの作品の真骨頂とも言える展開です。
同じ野球の世界で違った人生を歩む二人が、運命の悪戯で再びまみえて、お互いの人生の違いをそれぞれに認め合い、その上で切磋琢磨するという、かなり古典的な筋立てですが、バッテリーの漫画として、この辺が限界と言えます。かわぐちかいじの作品は、ストーリー展開としては、かっての「ちかいの魔球」や「巨人の星」などの野球漫画より、かなり大人向けの漫画に仕上げられていますが、人生の中の明確な方向性の違いを骨格としたストーリーは、ややもするとマンネリになってしまい、深みのない平版なモノになってしまいます。救いはしっかりした作画だけですが、曖昧さを許容したストーリーの展開もあってよいのではないでしょうか。

バッテリーの漫画